
今まで韓国のウェブトゥーンは、中国に輸出され、絶大な人気を誇り、中国のウェブトゥーン市場の形成を促しましたが、中国の潤沢な資金と膨大な読者数を背景に、中国人作家の実力も高まり、中国産ウェブトゥーンが韓国で人気を得るようになりました。レジンエンターテイメントの場合、2016年8月に中国ウェブトゥーンを初めてサービスして以来、現在は100編に増やしています。2015年から中国ウェブトゥーンを扱うカカオページの場合は、<新人王座>、<エルピス伝記シリーズ>などの作品が人気作上位に着実に上がっています。
中韓の互いの国の得意ジャンルが異なるため、相互に市場が成長する現象が生まれるメリットはあります。しかし、いかんせん、中国の物量は韓国(もちろん日本も)を大きく上回り、今後は中国作品が韓国のみならず、日本市場にも大きな影響を与えることになりそうです。少なくとも中国作家の得意な武侠や長編ファンタジージャンルでは大きな勢力になるものと思われます。
中国ウェブトゥーンの物量で顕著なのは「毎日連載」作品の存在です。「毎日連載」は、到底、一人の作家が月間で描ける分量ではなく、また、長期連載してる作品もあるので書き溜めしているわけでもありません。では、なぜ毎日連載が可能なのかについて、週刊京郷に掲載された「中国のウェブトゥーンが韓国市場に深く入り込む」という記事で説明していました。
<以下、週刊京郷記事より抜粋>
韓国ウェブトゥーンの場合、週1回の作品掲載が一般的だ。1回あたりの作家が描画されるシーン(カット)の平均は約60カット、ウェブトゥーン作家の一日の平均作業時間は10.8時間、週5.7日を働いている。週当り労働時間が60時間を遥かに超え、1日14時間以上も仕事をするという作家も20.5%に達している。韓国ウェブトゥーンは作家一人で週1連載すら手一杯な現状だ。
一方、中国ウェブトゥーンは1回当たりのカット数が100カットに迫っているにもかかわらず、週1回連載ではなく毎日の連載まで可能だ。
なぜなら「工場型」ウェブトゥーン作業が行われるためだ。これは中国には同じ作品を描く作家が大勢いることを意味し、人件費が安価な中国のだから可能な話だ。読者は、週1回連載作品よりも、毎日連載されている作品を好む。
<以上> http://m.weekly.khan.co.kr/view.html?med_id=weekly&artid=201811261546551&code=114
韓国ウェブトゥーンも相当早い速度で生産されています。作品自体は一人の作家が描きますが、彩色や背景はポストプロ体制が充実しているため、日本の作家よりもはるかに早い速度で作品を創出することが可能だからです。しかし中国では、さらに速度を上げるために、同じ作品を描く作家自体が複数いる「工場型」で、大量生産していることになります。
大量は粗製乱造になるリスクもありますが、仮に「ワンピース」が毎日30Pで連載していたら、読者は、毎日読むことになるのではないでしょうか?
月刊誌が売れなくなったのも、「待てば無料」のピッコマが成功したのも、読者が次話を早く読みたいという欲求が影響しています。中国の工場型ウェブトゥーン作業が、日本に導入されたら?と思うと少しワクワクしますね。