イドゥナ!
日本の多くの漫画が韓国で愛読されてきました。最近は、韓国作家によるウェブトゥーンが主流を占め、日本の版面モノクロの漫画が読まれなくなってきました。ただ、日本の漫画の企画開発に関しては多くの研究がなされ、ウェブトゥーン制作のヒントになってきた。
しかし、ウェブトゥーンに生かすことができないジャンルの多々あって、その一つが美少女ラブコメディだった。青江文化産業大学 パク・イナ教授が、独自の視点で分析をされているのでご紹介したい。
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80~90年代に日本で大人気を誇り、韓国でも愛読された<きまぐれオレンジ☆ロード>や「ああっ女神さまっ」をはじめとする美少女ラブコメディは、テーマの普遍性のわりには、ウェブトゥーンではヒット作を見ることができなかった。日本起源の美少女ラブコメディの特徴は以下の3つ。
- 平凡な男子(非常にわずかな魅力、あまり完璧なところはない)が主人公
- 多彩な魅力を持った複数の女子(魅力は複雑でなく、明快にシンボリック)が主人公を取り巻く。
- 様々な学園イベント(放課後部活動、夏休みの活動、学校文化祭等)でのエピソード
この3つの要素が入り交じって展開されているジャンルだ。韓国では90年代にマンガ雑誌チャンプでリュウビョンミン、バクサンヨンをはじめ一群のラブコメディ学園を描く作家が人気を博したが、ウェブトゥーンの時代になって影を潜めた。その理由を考えてみると、高校という背景が与える非現実と萌え化された女性キャラクターにあると思う。かつての読者は萌え化という記号化を好んだが、2010年以降のウェブトゥーン読者は抵抗感があった。
美感が変わり、最終的に萌え化に内在した女性対象化の視線が普遍的読者を掴まなかったため、2010年以降のウェブトゥーンでラブコメディは過去の遺物になっていった。
ところが、NAVERWEBTOONの「イドゥナ!」はキャラクターの面で80〜90年代のラブコメディを再現すると同時に、背景を大学に変え「学園イベント」も現実化することに成功した。何よりも女性作家であることから女性対象化を避け、女性視点のストーリーテリングで多くの読者を獲得した。具体的には、主人公は昭和レトロ風のキャラクターにデザインされたが、80〜90年代のスタイルとは異なり、ウェブトゥーンでよく見るスタイルでデザインされており、また、男子限定の女子のセクシーな作画やアングルををなくした。NAVERWEBTOONの底力を「イドゥナ!」が示している。