
韓国コンテンツ振興院が2016年から毎年行っているウェブトゥーン企業実態調査報告書が昨年12月に発行されました。2021年12月の発表ですが、統計資料としては2020年までのデータになります。以下概要をお伝えします。
2020年の韓国ウェブトゥーン市場規模は1兆ウォンを超えました。2019年から2020年の一年間で一気に1.6倍になっています。詳細は、コンテンツ課金収入(61.3%)、国際コンテンツ収入(12.1%)、出版収入(6.5%)、二次著作権収入(6.0%)、広告収入(4.7%)です。さらに、二次著作権収入のうち、ドラマ収入が4割でゲーム、アニメーション、映画が1割前後でした。韓国のウェブトゥーン産業は、昨今NETFLIX等で話題の韓国ドラマとの密接な関係性があり、映像化権を先出しした大型のウェブトゥーン制作も増加傾向にあります。
こうしたウェブトゥーン市場の隆盛に伴い、連載作家の収入は平均5,668万ウォン、年間を通じて連載した作家の平均年収は8,121万ウォンでした。注目すべきは、こうした作家の56.2%が2016年以降に作品に取り組み始め、24.2%が2019年以降にデビューしたことで、5年程度のキャリアで大きな収入を得られる産業に成長したということになります。
<図1>韓国ウェブトゥーン産業規模2020 (単位:億ウォン)

次に、プラットホーム別に見てみると、NAVERは、独占作品が9割を超えており、KAKAOPAGEが5割以下である点からもNVAERの強みになっています。総作品数はNAVERとKAKAO(旧DAUM含む)の2強が多いと思いきや、他の有力プラットホームも数では引けを取りません。中でも注目は電子書籍の最大手RIDI BOOKSです。同社は2020年独自のWebtoon制作会社を設立し新規参入しました。当初は女性向けのソフトエロ路線のWebtoon制作がメインで収益を上げていましたが、今後は自社保有の数多くのウェブ小説のWebtoon化を独占的に進めているので、今後のウェブトゥーン市場の台風の目になっていくと思われます。
<図2>各プラットホーム別作品数

DAUM WEBTOON※:現KAKAO WEBTOON、 独占作品数※:自社オリジナル作品
次に作品数推移を見てみると、各プラットホームの勢いがわかります。TOOMICS, TOPTOONは成人向けから一般向けに舵を切ってる最中で、作品の入れ替えを行っており、既存の作家との新規契約は減っているようです。LEZHIN COMICSは一時作家との争議があったことから、事業縮小傾向でしたが、作品作りに関しては定評があり、読者も作家も戻ってきている印象があります。また、昨年KidariStuidioに売却したことで、Bomtoonの作品も配信しており、今後も作品数は増加傾向になっていくでしょう。
<図3>各プラットホーム別作品数推移

日本の今年はウェブトゥーン元年になる気配で、こうした統計資料ができるようになるぐらいに市場形成することを期待します。
※出所:韓国コンテンツ振興院発行「2021ウェブトゥーン企業実態調査報告書」より。調査期間は2021年7月~11月。
※売上算出方法:ウェブトゥーンPV全体の97.7%を占める主要ウェブトゥーンプラットフォーム社の売上高を100.0%に換算計算した金額と、製作会社の関連事業売上の合算。