※(編集部注):本事件は、日本とは異なる環境で急成長してきた韓国ウェブトゥーン界で起きたのですが、日本の漫画制作も編集部と作家の間で詳細な契約がされているとは思えず、日本でも起こりうる可能性も否定できませんので、経緯をお伝えしたいと思いました。

連載当時、未成年者だったウェブトゥーン作家のA氏の作品に違法に共同著作者として名を連ねた容疑で起訴されたレジンコミックスの創業者であるハン·ヒソン氏が一審で罰金1千万ウォンを言い渡されました。 いわゆる「レジンコミックス」事件で物議を醸してから4年かかって出た判決になります。
ソウル中央地裁の朱鎮巖部長判事は、著作権法違反の疑いで裁判にかけられたレジンコミックスのハン·ヒソン理事会議長に対し、罰金1千万ウォンの判決を言い渡しました。
朱判事は、検察の公訴事実をすべて有罪と認めました。裁判所は当初、略式で罰金500万ウォンを科しましたが、ハン·ヒソン被告はこれを不服として正式裁判を請求し、当初500万ウォンの罰金の2倍にあたる罰金千万ウォンが言い渡されました。
ハン被告は、レジンコミックスで連載した未成年者の作家Aさんの作品にペンネーム「レジン」を表記、Aさんが作った作品の氏名表示権を侵害したとして、2019年12月に起訴されました。
2013年当時、レジンコミックスは、作家募集を行い、A作家は応募し採用され、連載を始めました。A作家は当時17歳の高校生でした。ハン被告は「A作家の作品が連載される過程で、ジャンル、ストーリー、展開方向等、創作と関連したアイディアを提供した」と主張しました。ハン被告はこれに基づき、作品で発生する収益の15~30%を得る一方、各回末尾のクレジットにも自身のペンネームである「レジン」を表記しました。 ハン被告は「こうしたやり方は業界の慣行だ」と主張し、A作家はその言葉を信じて従いました。
その後、ハン被告が提供したコメントは著作権法上の表現物に含まれず、権利を主張できないという事実を知った作家は、ハン被告に公開謝罪を含む合意を試みたが、ハン被告は公開謝罪を拒否し、2018年12月にはA氏がハン氏を告訴し、法廷争いが始まりました。しかしハン被告は先月7日の結審公判でも無罪を主張し、「Aさんの作品を共同創作するという合意の下、ウェブトゥーンの構成要素が創作されるのに寄与した」と主張し、「法律に違反しなかった」と述べたが、裁判所はこれを受け入れませんでした。
裁判所は「ハン被告がウェブトゥーンを創作する上で役立ったと主張しているが、裁判で採択した証拠記録を見ると、被告人の関与は単なるアイデアや素材提供に過ぎず、表現自体に寄与したものとは考えられない」と判断しました
裁判所はさらに、「A作家が著作権問題を提起した後、再び作成した契約書にはA作家とは別の作家にいるように表現されている一方、被告は契約当事者として参加していない」と説明しました
したがって、「このような事情は、被告人がA氏の作品の共同著作者ではないという事実を知っていたものとみられる」とし、「告訴後、原作者表示から被告人の名前を削除するなどの行為を見れば、被告人が共同著作権者と主張した趣旨にも反する」と指摘しました。
A氏はソーシャルメディアを通じて、「大手法律事務所の弁護士を9人も選任したハン被告との法的攻防が数年間続き厳しかったが、幸い多くの方々の助けで良い結果をお伝えできて良かった」と伝えました。