以前にご紹介しましたKOCCA発行の「ウェブトゥーン企業実態調査」と並行して「ウェブトゥーン作家実態調査2021」が発行されてましたので、興味深い「おカネ」がらみの部分のみをご紹介します。この調査データはウェブトゥーン作家実態調査2021の調査時期は2021年7月で、調査対象は過去5年以内に活動をしている作家710名です。(以下、作家=ウェブトゥーン作家)

①作家の年齢
作家は30代が中心。これはどの世界(特にITコンテンツ業界)でも働き盛りはこんなもんでしょう。しかし2016年以降に活動を始めて、まだ5年ぐらいしか経っていない作家が過半数なのに、数多くの良質なウェブトゥーン作品が輩出されていることには驚きます。まだまだ成長の余地があるということでしょう。
・女性作家(67%)、男性作家(33%)。
・平均年齢は33歳。
・56%の作家が2016年以降作品活動を始めて、24%は2019年以降にデビューした作家。
②作家の年収
連載作家の平均年収は8120万ウォン(800万円)です。10年前には考えられない高収入になりました。私たちがLINEマンガやピッコマで見る人気作品の作家たちは億を稼いでいる作家がいますが、平均でも800万円というのはすごい数字だと思います。
・最近1年の間ずっと作品を連載した作家の年間総収入は平均8121万ウォン。
・最近1年以内に作品を連載開始した作家の年間総収入は平均5668万ウォン。
③作家の主な収入源
収入源としては「印税、原稿料、MG(先払金)」の3つですが、原稿料+MGで1話20万円程です。つまり、作品制作段階で1話20万円が「担保されてる状態」で執筆活動をしていることになります。結果、全く売れなくても20万円ぐらいは保証されてるイメージです。
・作家の主な1話当たりのMGは平均92.6万ウォン、1話当たりの原稿料は平均114.5ウォン。
④会社側の制作手数料
プラットホームと契約した方が手数料は少ないので、作家にとっては得ですが、直接契約できるのは狭き門です。
・プラットフォームと契約した作家の作品の手数料は、作品の売上の21~40%の間。
・制作会社と契約した作家の会社側の手数料は、41~50%。
以上のような状況は、まだ始まったばかりの日本のウェブトゥーン制作現場と比較してどうかは正確には分かりませんが、大事なのはこれがずっと継続するかどうかです。韓国のNAVERやKAKAOのグローバルな動きを見ていると、ある程度「将来安心」と思われるので、韓国では良い人材がウェブトゥーン界にどんどん入って来ている印象はあります。